さまざまなシーンで着られる小紋について
小紋は着物全体に同じ模様が施され、一方向に柄が繰り返し描かれている着物のことです。
一般的な着物は柄が裾の方へ配置されているのに対して、小紋は全体に散りばめられているのが特徴です。
食事会や観劇、同窓会などさまざまなシーンで気軽に着て行けるため初めての着物に適しているともいわれています。
色や柄の種類はさまざまで、洋服で言うと全体に柄がプリントされているワンピースのようなイメージです。
もともとは柄の大きさによって大紋や中紋もありましたが、総称として小紋になりました。
正装として使われるのは稀で、多くは普段着として気軽に利用されています。
ただ例外として、柄の細かいものは遠目から見て無地に見えますので、袋帯と合わせることもあります。
柄を染める技法はさまざまありますが、代表的な技法は江戸や京などでおこなわれた技法です。
江戸では伊勢の型紙を使って伝統工芸士が型染しました。
基本は一色染めとなり、遠目では無地に見えるほど細かい柄が染められているのが特徴になっています。
江戸の技法のなかには大名の裃の模様が発祥となったものと庶民の遊び心が発祥になったものがあります。
京とは京都府のことで、優美で上品な雰囲気の色柄が特徴です。
基本となる型紙が作成されたのは、約1200年前が起源とされ、京都の堀川を中心に染色職人が集まる職人町ができるなどして発展しました。
染めるための型紙には和紙が使用され、防染のために米から作成した糊を用いる製法は現代にも引き継がれています。